てんかんが発生することに年齢は関係する?

てんかんはすべての年齢層の人がかかる可能性のある慢性の疾患で、日本には約100万人の患者がいると言われています。
全年齢層を通じて、有病率は約0.5~1%ということになります。
ただし発症率と年齢の間には強い関係性があります。
ここで発症率とは初めて発作が見られた人の割合を指し、有病率とは完治せずに発作が続いている人の割合を指します。

てんかんの発症率は生後すぐが最も高く、3歳までには急激に低下していきます。
3歳までに発症する人が、全患者の7割以上を占めることが分かっています。
10歳ごろまでにはさらに低下し、思春期以降も緩やかに低下しつづけて、50歳頃に一番少なくなります。
しかしその後は徐々に増加しはじめ、65歳ぐらいからは再び急増することが知られています。

ではなぜ乳幼児にてんかんが発症しやすいのでしょうか。
てんかんの発症と年齢の関係性は、脳の発達段階で説明することができます。
てんかんは脳の神経が本人の意思に関わりなく興奮することで起こります。
3歳ぐらいまでは、人間の脳神経が最もよく発達する時期です。
この時期に脳の発達に何らかの問題があると、神経の暴走が起きやすくなると考えられます。

これを裏付けるようなデータがあります。
てんかんの発作には多くの種類がありますが、その種類ごとに発症しやすい年齢が決まっていることです。
たとえば熱性けいれんの発作は2歳頃に最も起こりやすいとされています。
脳の発達段階に応じて、問題の起きる部分が分かれるというわけです。
小児てんかんは大人になると自然に治ることがありますが、治りやすいか治りにくいかも発症の段階で決まっていると言われています。

乳幼児のてんかんとは別に、思春期には特発性全般発作が起きやすくなるのが特徴です。
脳が完成した大人になると、新たに発症する人は少なくなります。
ただし高齢者になると、子どもとは異なる原因により、てんかんの発症率が再び増えていきます。

高齢者が発症するてんかんの種類とは?

高齢者は脳卒中や動脈硬化など、脳血管の障害によっててんかんを発症するケースが多くなります。
また外傷や脳腫瘍のほか、アルツハイマー病などで脳神経が死ぬことも原因になります。
これらの病気を経験したことがある高齢者は、そうでない人よりも発症率が高いことが知られています。
ただし原因不明の場合も約3分の1程度あるため、既往症がないからといって安心はできません。

高齢者のてんかんは原因によって症候性てんかん・神経変性疾患・特発性てんかんに分けられます。
症候性てんかんは脳血管障害や外傷などによるもので、脳出血を起こした方はてんかんのリスクが非常に高くなります。
神経変性疾患はアルツハイマー病などが原因で、高齢化に伴って今後も増えていくと考えられます。
特発性てんかんは原因不明のものです。

発症する部分によって、前頭葉てんかんと側頭葉てんかんに分けることもできます。
高齢者の場合は約7割が後者の発作と言われています。その特徴として自動症や自律神経症状などが挙げられます。
自動症は体が勝手に動いたり、動作が途中で止まったりします。自律神経症状では嘔吐や発汗が見られたり、悪寒や暑さを感じたりすることがあります。
また意識障害や言語障害を伴うことが多いのも特徴です。

高齢者のてんかんには複雑部分発作が多く、けいれんが見られないことも少なくありません。
話しかけても答えずに口をモグモグさせていたり、意識がもうろうとしたまま歩き回ったりすることがあります。
本人には発作中の記憶がなく、自分の症状を説明できないため、認知症と誤診されることが多いという問題があります。
このような高齢者てんかんの特徴を知って、正しく対処することが大切です。